こんにちは、賃貸営業マン&不動産投資家のしんし(@shinshi_fudosan)です!
戸建て投資を始める際、「利回り」に注目する人が多いのではないでしょうか?
利回りは、投資の収益性を示す重要な指標です。しかし、利回りの数字だけを追い求めることはリスクを伴うこともあります。
戸建て投資の利回りって実際どれくらい?高利回りのリスクって何?
そこで今回は、実際に戸建て投資やアパート投資を行う私が、戸建て投資の利回りについて解説します。
戸建て投資における利回りの基本から利回りを上げるコツ、利回りのみを追求するリスクまで、そして私自身の体験談も紹介します。
戸建て投資に興味のある方や戸建て投資の利回りについて知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
賃貸営業マン歴10年。2019年から不動産投資をスタートし、賃貸併用住宅・貸家・アパートなど合計42戸を所有。2022年に資産管理法人設立。賃貸業界の中から見る不動産投資について発信しています!
資格:宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/相続支援コンサルタント他
Twitter:@shinshi_fudosan
Blog:はじめての戸建て投資/ニコイチブログ
編集者: はなえり(不動産ライター)
不動産会社・住宅メーカーで働いていた経験から、不動産についてわかりやすく解説する不動産ライター。大手Webメディアにも多数寄稿。執筆実績はこちら
資格:宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/FP2級/日商簿記2級/教員免許(国語)他
Twitter:@writerERI
Instagram:@eri.writer
note:writer_eri
戸建て投資の利回りについて
利回りとは、簡単にいえば「投資額に対してどれだけの収益を得られるか」を示す指標です。
不動産投資における利回りは、収益性を測るための重要な基準といえます。たとえば、物件の購入価格に対して年間家賃収入がどれほどの割合になるかを数値で表すなど。
利回りを計算することで物件ごとの収益性を比較できるため、投資判断の材料とすることが可能です。
ここからは、利回りの種類と計算方法、戸建て投資における利回りの特徴について解説していきます。
表面利回り
表面利回りとは、物件の購入価格に対する年間家賃収入の割合を示す指標です。不動産投資の収益性を簡単に把握するために使われます。
たとえば、500万円で購入した家賃8万円の戸建ての表面利回りは、
年間家賃収入96万円÷物件価格500万円×100=表面利回り19.2%
という計算になります。
表面利回りは物件価格と家賃収入だけで計算できるため、物件を比較する際に手軽に利用しやすいのが特長の一つ。
そのため、物件選びの初期段階に表面利回りが高い物件を候補に絞り込むなどの使い方が可能です。
ただし、表面利回りは物件の維持費や運用コストを考慮していないため、実際の収益性とは異なる場合があることに注意が必要です。
実質利回り
実質利回りとは、物件の運用にかかる経費を考慮して計算される利回りのこと。物件の収益性をより正確に評価する指標として使われています。
実質利回りは実際の運用時にかかるコストが反映されるため、不動産投資の判断材料となる重要な項目の一つです。
たとえば、物件価格が1,000万円、家賃10万円、年間支出20万円の戸建ての実質利回りは、
(年間家賃収入120万円-年間支出20万円)÷物件価格1,000万円×100=実質利回り10%
という計算になります。
実質利回りにより経費を含めた収益性を把握することで、長期的なキャッシュフローや投資戦略を立てやすくなるメリットがあります。
ただし、空室期間が長くなると、収入が減少して実質利回りが大きく下がる可能性があることに注意が必要です。
戸建て投資における利回りの特徴
戸建て投資には他の不動産投資とは異なる特徴があります。利回りに関していえば、次のような特徴が挙げられます。
- 高利回りを狙いやすい
- 地域による収益差が大きい
- 修繕費の影響を受けやすい
先ほど解説した利回りの計算式からわかるように、利回りは価格によって左右されます。したがって、都市部よりも物件価格の相場が安い地方の方が利回りは高くなりやすい傾向にあるのです。
ただし、地域によっては賃貸需要が少ない場合や将来的に売却しにくい場合があることに注意が必要です。
また、新築と中古でも価格に大きな違いがあります。特に築古戸建ては安い価格で手に入れやすく、利回りも高くなりやすいといえます。
しかし、築年数の経っている戸建ての場合、状態によっては高額な修繕費がかかるケースも。
修繕費は実質利回りに影響を与えます。戸建て投資物件を検討する際は、物件価格の安さだけでなく修繕・リフォーム費用も加味した上で収益性を判断しましょう。
戸建て投資の利回りの相場はどれくらい?
戸建て投資の利回りは、物件の立地や状態、新築か中古かなどの条件によって大きく異なります。
そのため、まずは投資対象とするエリアや戸建て投資物件の相場(物件価格や家賃)を把握することが大切でしょう。
私自身は地方での戸建て投資をメインにしており、都市部の投資については詳しくありません。そのため、この記事では地方での戸建て投資に基づいた経験や利回りの目安をお伝えします。
- 新築戸建て:9%
- 中古戸建て(新耐震):土地値による
- 築古戸建て(旧耐震):20%(※リフォーム込み)
私は築古戸建てで利回り(※リフォーム費用含む)20%を基準としていました。
利回りが高い物件は魅力的に見えますが、注意すべき点もあります。特に、以下のリスクを念頭に置くことが大切です。
- 空室リスク: 地域によっては需要が限られ、空室期間が長くなる可能性も。
- 修繕費用: 築古物件では、リフォーム費用以外にも運用中に予期せぬ修繕が必要になることがあります。
戸建て投資では利回りの相場を参考にしながらも、エリアの賃貸需要や物件の状態を含めて総合的に判断することが大切です。
戸建て投資の利回りを上げるコツ
ここでは、戸建て投資の利回りを上げるコツについて解説します。
エリア内の賃貸ニーズを把握する
戸建て投資で利回りを上げるためには、物件があるエリアの賃貸ニーズを把握することが重要です。
エリア内の家賃相場や標準設備、ターゲット層などがわかれば、空室対策や出口戦略などを考えやすくなるからです。
エリア内の賃貸ニーズを調べる際のポイントとして次のようなものが挙げられます。
- 人気のあるターゲット層
- エリアの人口動態
- 周辺の賃貸物件(家賃・間取り・設備など)
- インフラや利便性 など
たとえば、賃貸物件の供給が多すぎて賃料が値崩れしている地域は避けるべきだといえます。
また、よっぽどエリアを熟知しているのでなければ、人口数万人以下の小さな市町村は避けた方が無難でしょう。
賃料相場は、SUUMO・LIFULL HOME’S・アパマンショップといったお部屋探しのポータルサイトを見ると把握しやすいですよ。築年数や間取りなどの条件が近い物件で賃料相場を把握する他、築浅の家賃相場も見ておくとエリア内の賃貸住宅の供給状況がわかりやすいと思います。
エリア内で賃貸メインに事業展開している不動産会社に話を聞くのもおすすめです!
初期費用を抑える
戸建て投資で高い利回りを実現するためには、初期費用をできるだけ抑えることが重要です。
購入時のコストを削減することで、収益性を高め、早期に投資回収を目指すことが可能になります。
戸建て投資で初期費用を抑える方法には、たとえば次のようなものがあります。
- 新築ではなく中古戸建てを検討する
- 売主が早期売却を希望している物件を探す(相場より安く買える可能性があるため)
- 指値交渉をする
- 費用対効果を考えたリフォームをする など
築古戸建て投資については、こちらの記事もご覧ください。
費用対効果の高いリフォームをする
戸建て投資では、リフォームや設備の追加などにお金をかけすぎないことも重要です。
魅力的な物件に仕上げようと多額の費用を投じても、その分を家賃で回収できなければ投資効率が低下してしまいます。
無計画にリフォームを進めるのではなく、ターゲットとする入居者層や周辺相場を考慮し、費用対効果の高い改善を目指すとよいでしょう。
たとえば、キッチンやお風呂といった設備を新しくするには多額の費用がかかります。その費用をかけて、家賃は上がりますか?本当に必要ですか?
キッチンはそのままで表面にダイノックシートを貼る、浴室はそのままで壁一面にシートを貼る、水栓をサーモスタットに変える、鏡を横長に変えるなど、少額で見栄えを良くする方法はあります。
また、家賃相場によっても考え方が異なります。たとえば、同じ金額のリフォーム費用をかけたとしても、家賃相場が低いエリアよりも、家賃相場が高くて法人需要のあるエリアの方が家賃を上げやすいでしょう。
費用対効果を考えて、ターゲットとする入居者層に合った適切なリフォームを行うことが大切でしょう。
私は、費用対効果の目安としてリフォーム利回り(リフォームによって上がった家賃から元の家賃を差し引いた金額÷リフォーム費用)12%としています。
適正な家賃を設定する
戸建て投資で失敗しないためには、適正な家賃設定が欠かせません。家賃が高すぎれば入居者が決まりにくく、家賃が低すぎると収益性が下がるからです。
戸建て投資で適正な家賃を設定するためのポイントとして、次のようなものが挙げられます。
- 周辺の家賃相場を調べる
- 物件の特徴を考慮する(リフォーム箇所・駐車場の有無など)
- ターゲット層に合う家賃を考える
- 家賃設定後の調整も視野に入れる(交渉幅をもたせるなど)
賃料相場は、SUUMO・LIFULL HOME’S・アパマンショップといったお部屋探しのポータルサイトを見ると把握しやすいですよ。築年数や間取りなどの条件が近い物件で賃料相場を把握する他、築浅の家賃相場も見ておくとエリア内の賃貸住宅の供給状況がわかりやすいと思います。
空室対策をしっかりと行う
戸建て投資において、空室期間を最小限に抑えることは収益性を維持するために欠かせません。空室が続くと家賃収入が途絶えるだけでなく、維持管理などにかかる出費が収益を圧迫するからです。
戸建て投資の空室対策として、たとえば次のようなものが挙げられます。
- 入居付けが強い不動産会社にお願いする
- キレイな状態を保って内見時の印象を良くする
- 入居条件を見直す(ペット可・外国人の受け入れOK等)
- 家賃などの募集条件を見直す
- 入居者に選ばれる魅力(設備等)を作る
- 内見までに手間がかからない工夫をする
- 賃貸営業に紹介してもらえる関係性を築く
- リフォームをする
戸建て投資の空室対策については、こちらの記事もご覧ください。
戸建て投資で利回りのみを追求するリスク
戸建て投資において「利回り」は重要な指標ではありますが、利回りのみを追い求めることはリスクも伴います。
ここでは、戸建て投資で利回りのみを追求するリスクについて解説します。
高利回り物件に潜む空室リスク
高利回り物件は一見すると収益性が高く魅力的ですが、高利回りが実現している背景には賃貸需要の低いエリアなどの問題があるケースが多いことに注意が必要です。
購入価格や家賃などから計算される利回りは、あくまで数字上のものです。家賃を支払う入居者がいなければ収入はゼロ。高利回りの意味がなくなってしまいます。
とはいえ、高利回り物件には空室リスクが付き物です。事前にリスク要因を把握し、適切な対応を取ることで、空室リスクを最小限に抑えることができるでしょう。
戸建て投資では収益性を求めるだけでなく、安定した運営を目指す視点を持つことも大切です。
戸建て投資の空室対策については、こちらの記事もご覧ください。
賃貸需要が低いエリアのリスク
賃貸需要が低いエリアの物件は購入価格を抑えやすいため高利回りを実現しやすいでしょう。しかし、その裏側には空室リスクや長期的な収益性の低下を招く可能性が潜んでいます。
たとえば、賃貸需要が低いエリアのリスクとして次のようなものが挙げられます。
- 空室期間が長引くリスク
- 家賃の下落リスク
- 売却したくても買い手が見つからないリスク
- 修繕費などの支出の負担が重くなるリスク
リスクを軽減させるには、事前にエリアの人口動態や賃貸需要の傾向を調査することが大切です。
戸建て投資を考えているエリアで賃貸メインに事業展開している不動産会社にするなど、需要が見込める地域を特定しましょう。
利益を圧迫する修繕費がかかるリスク
戸建て投資では、物件の老朽化や設備の劣化による修繕費用が予想以上に利益を圧迫するリスクがあります。
特に、築年数が古い物件や適切なメンテナンスが行われていない物件は、修繕リスクが高まるでしょう。
修繕リスクを軽減するための対策としては、たとえば次のようなものが挙げられます。
- 購入前に建物や設備の状態をよく確認する
- 修繕費を見込んだ資金計画を立てる
- 適切なメンテナンスを続ける
- 築年数や耐震基準を考慮して物件を選ぶ など
管理や運営に手間がかかるリスク
高利回りだからと遠隔地の物件を購入すると、物件の管理や運営に予想以上の手間がかかってしまい、投資効率を損なうリスクがあります。
基本的には、土地勘があって定期的に現地まで行くことができる範囲で物件探しをすることをおすすめします。
私は基本的には県内(車で片道1時間の範囲)で探していましたが、情報が少ないので隣県の一部(車で片道2時間の範囲)の物件情報も見ていました。
戸建て投資物件の選び方については、こちらの記事をご覧ください。
【成功と失敗】高利回りの戸建て投資体験談
ここでは、実際に築古戸建て投資を行う私自身の体験談をご紹介します。
成功談①現状でも貸し出せるレベルの物件を選び空室リスク減
今回の中古戸建てを購入する決め手になった点は、「価格」「リフォーム済みの内装」「立地とターゲット層」でした。
価格は180万円と格安。しかし、キッチン・お風呂・洗面所・トイレといった水回りがすべてリフォームされており、居室の一部もリフォームされ、オール電化(エコキュート)となっている点が良いと思いました。
大幅な修繕やリフォームをせずに貸し出せるのは魅力的でした。
成功談②購入価格より高い価格で売却
私は、2019年に購入した中古戸建て①を2022年に売却しました。売却した理由は、不動産投資の規模を拡大させるため、売却して次のアパート購入の資金に充てたいと考えたからです。
中古戸建て①は、私が初めて購入した物件です。180万円で購入し、260万円で売却できました。
ただ、残念ながら、実際は修繕費が結構かかってしまい、それほど利益にはなっていません……。
失敗談①売却寸前にエコキュート故障
中古戸建て①の売却直前にエコキュートが壊れてしまい、約45万円が吹っ飛びました。
もう売却先が決まっていたのに!なんで今壊れる!?と絶望しました。
これからはオール電化の戸建てはガスに切り替えようと思いました(泣)
失敗談②入居者が1年経たずに退去。部屋に入ると督促状の山…
中古戸建て③では、入居者が1年経たずに退去してしまいました。
退去後に部屋に入ってみると、色々なところから借り入れをしていたり、支払いをしていなかったりしたようで、督促状の山がありました……。
隣家から理不尽で意味がわからないクレームがよく届いていたのですが、入居者はきちんと受け答えしていて困っていそうだったので、隣家がクレーマーのように感じていました。
今までは理不尽でおかしなクレームだと思っていたけれど、もしかしたら入居者もヤバい奴で、クレームの一部は本物だったかも?と気づくきっかけになりました……。
築古戸建てなので低家賃帯!入居者層もさまざまです(泣)
戸建て投資は利回りだけでなく、総合的な判断が大切!
今回解説したように、戸建て投資において、利回りは重要な指標の一つとなっています。
しかし、高い利回りだけに注目してしまうと、見落としてはいけないリスクに直面する可能性があります。
利回りの数字だけでなく、物件の状態や将来的なリスクなどを総合的に考慮することが大切です。
数字に惑わされず、長期的な視点を持ち、地に足をつけて安定した収益を得る運営を目指しましょう。