こんにちは、1棟2戸の賃貸併用住宅を新築した賃貸営業マン&不動産投資家のしんしです。
賃貸併用住宅を運営し始めると、避けて通れない重要なポイントの一つが「確定申告」。
家賃収入をや賃貸経営にかかった経費を適切に申告できないと、税務上のトラブルに発展してしまう可能性があります。
確定申告のやり方がわからない。何が必要でどんなことに注意すればいいの?
そこで今回は、実際に賃貸併用住宅を運営して確定申告している私が、賃貸併用住宅の確定申告の一般的な流れについて解説します。
確定申告でわからないことがあれば税務署などにも相談しながら、正しく申告していきましょう!
賃貸営業マン歴10年。2019年から不動産投資をスタートし、賃貸併用住宅・貸家・アパートなど合計42戸を所有。2022年に資産管理法人設立。賃貸業界の中から見る不動産投資について発信しています!
資格:宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/相続支援コンサルタント他
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編集者: はなえり(不動産ライター)
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賃貸併用住宅は確定申告が必要?
確定申告とは、1年に1回所得税の精算をするために必要な売上や経費を税務署に申告すること。1月1日から12月31日までの売上や経費を翌年2月16日から3月15日までに確定申告を行い、納税します。
賃貸併用住宅を運営する場合、一般的には次に該当する人は確定申告をする必要があるでしょう。
- (副業の場合)年間所得が20万円を超える場合
- (専業の場合)年間所得が48万円を超える場合 など
※年間所得=1月1日から12月31日までの売上から経費を差し引いたもの
ここでの「売上」は賃貸併用住宅の家賃収入のみを指しているわけではありません。他にも家賃収入や事業収入などがあれば、売上として計上します。
上記の他にも「給与収入が2,000万円超」「所得税の猶予を受けている」など、確定申告をする必要のある人が決められています。詳しくは、国税庁のWebサイトをご覧ください。
基本的には、所得に関わらず確定申告をしておいた方が良いと思いますよ。
賃貸併用住宅の確定申告の流れ
ここでは、賃貸併用住宅の確定申告の一般的な流れについて解説します。
初めて確定申告をする人にもわかりやすく解説しますので、確定申告が必要かもしれないとお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
STEP1:家賃などの収入を把握する
その年の1月1日から12月31日までの売上を計算しましょう。賃貸併用住宅の家賃収入や礼金などの売上だけでなく、他にも家賃収入があればその売上、別の事業収入等があればその売上も計上します。
- 賃料
- 共益費
- 礼金
- 駐車場代 など
家賃を計上する時期は、原則として契約上の支払日です。たとえば、「10月の家賃は9月末までに支払う」という契約であれば、原則として9月の売上として計上することになります。
STEP2:経費を計算する
続いて、1月1日から12月31日までの1年間にかかった経費を計算しましょう。賃貸併用住宅の運営にかかる経費として計上できるものの例として、以下のものが挙げられます。
- 管理委託料
- ローンの利子
- 火災保険料
- 広告宣伝費
- 修繕費
- 減価償却費
- 通信費 など
ここで注意して頂きたいのが、経費計上できるのはあくまで「賃貸併用住宅の運営のために」使っている場合です。
自宅部分と賃貸部分で共有しているものや、パソコンやスマホといったプライベートで共用しているものの場合は、その割合に応じて按分(面積割合や使用時間などの基準を用いて割り振ること)しなければなりません。
私の賃貸併用住宅はネット回線やケーブルテレビを賃貸部分と共有しているので、料金を按分して計上しています!
また、経費として計上する場合は、領収書など「支払いの根拠となるもの」を必ず保管しておきましょう。
青色申告の場合は最低7年間、白色申告の場合は最低5年間(消費税課税事業者は最低7年間)の保管期間が定められています。
私は年度ごとにファイルを作って保管しています!
STEP3:必要書類を準備する
確定申告に必要な書類を準備します。たとえば、確定申告書を作成する上で一般的に必要となる書類には次のようなものがあります。
- 勤務先の源泉徴収票
- 賃貸借契約書
- 管理会社から送付される収支報告書
- 住宅ローンの年末残高証明書
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 控除に必要な書類(iDeCo・ふるさと納税) など
住宅ローン控除の適用を受ける場合、初年度は不動産売買契約書の写しや登記事項証明書などの書類が必要となります。詳しくは賃貸併用住宅の住宅ローン控除の記事をご覧ください。
また、会社員で年末調整されている場合は源泉徴収票に確定申告に必要な情報が記載されているため、手元に準備しておきましょう。
STEP4:収支内訳書or青色決算書を作成する
白色申告の人は収支内訳書、事業規模で不動産投資をしていて青色申告を選択している人は青色決算書を作成します。
「STEP1:家賃などの収入を把握する」「STEP2:経費を計算する」の帳簿をもとに、損益計算書・貸借対照表といった書類を作成しましょう。
収支内訳書・青色決算書は、手書きもしくは国税庁のWebサイト「確定申告書等作成コーナー」で作成できます。
- やよいの白色申告オンライン
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(初年度無料・コスパ◎) - マネーフォワードクラウド確定申告
(マネーフォワード各種と連携)
STEP5:確定申告書を作成する
確定申告書は、手書きもしくは国税庁のWebサイト「確定申告書等作成コーナー」で作成できます。
国税庁の確定申告書等作成コーナーで作成した場合は、印刷したものを税務署に郵送or持参、もしくはオンラインで確定申告できるe-Taxを利用してネット上で提出します。
私はe-Taxで提出しています。自宅で確定申告が終わるのでラクですよ!
STEP6:税務署に提出する
税務署に郵送or持参、もしくはe-Taxでの電子申告で確定申告を行います。
毎年1月1日から12月31日までの売上などの情報を記載して、翌年の2月16日~3月15日の間に確定申告を行い、納税します。期日までに確定申告を終えられるように、早めに準備をしておきましょう。
STEP7:納税する
確定申告が終わったら、所得税を納税しましょう。2024年時点の納税方法は、次の通りです。
- 振替納税
- ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)
- インターネットバンキング・ATMからの納付
- クレジットカード納付
- スマホアプリ納付
- コンビニ納付(QRコード)
- 現金で納付する
私はどこかに行くのが面倒なので、クレジットカードで支払うことが多いです!
納期限までに納付が間に合わないと無申告加算税や延滞税といったペナルティを課される可能性があります。忘れずに納税しましょう!
賃貸併用住宅で確定申告する際の注意点
ここでは、賃貸併用住宅で確定申告する際の注意点について解説します。
これから賃貸併用住宅の確定申告の準備を始めようと考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
収入や経費を正しく計上する
確定申告をするにあたり、賃貸併用住宅からの収入や運営にかかった経費を正しく計上することが大切です。
入退去により入居者の変動があった場合は入居月や退去月の家賃が日割り計算になるケースがあるため、特に注意しましょう。
また、賃貸併用住宅の運営にかかった経費として認められるものだけを計上してください。
自宅部分と賃貸部分で共有しているものや、パソコンやスマホといったプライベートで共用しているものの場合は、その割合に応じて按分(面積割合や使用時間などの基準を用いて割り振ること)しなければなりません。
私の賃貸併用住宅はネット回線やケーブルテレビを賃貸部分と共有しているので、料金を按分して計上しています!
領収書等をきちんと保管する
経費として計上するためには、支払いの根拠となるもの(領収書等)が必要となります。
賃貸併用住宅の運営に必要な支払いがあった場合は領収書等を受け取り、大切に保管しておきましょう。
ちなみに、確定申告の際に領収書等の提出は不要ですが、税務調査などがあれば提出を求められる可能性があります。
私の場合、経費になりそうなものはすべて領収書をもらっています。その中から経費にできるものだけを計上しています。
領収書等があればすべて経費にできるわけではありません。賃貸併用住宅の運営に必要なものでなければ認められないので、不安に感じる方は税務署等に確認しましょう!
確定申告の期限を厳守する
1月1日から12月31日までの1年間の所得について、翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告をして納税することになっています。
期限を過ぎてしまうと、無申告加算税や延滞税といったペナルティを課される可能性があるので注意が必要です。
定期的に記帳しておくと確定申告の時期に慌てずに済みますよ!
わからないことがあれば税務署等に確認する
確定申告に関して何かわからないことがあれば、自分の中で勝手に結論付けるのではなく税務署や税理士といった専門家にきちんと確認しましょう!
先ほども解説したように、確定申告の目的は、1年間の所得を正しく申告して適切な納税額を計算することにあります。
正しく申告できないと、修正申告や税務署長が更生を行う場合に加算税が賦課されてしまう可能性があるので注意が必要です。
賃貸併用住宅を運営するなら忘れずに確定申告しよう
賃貸併用住宅を運営するなら、確定申告は避けて通れない重要なポイントの一つです。
賃貸併用住宅の収入や運営にかかる経費を正しく申告できないと、延滞税などのペナルティが課される可能性があるため、早めに準備しておくことが大切でしょう。
期日が迫ってから慌てないためにも、今から少しずつ確定申告の準備を進めていきましょう!