こんにちは、1棟2戸の賃貸併用住宅を新築した賃貸営業マン&不動産投資家のしんしです。
賃貸併用住宅は自宅と賃貸部分を組み合わせた効率的な資産運用方法です。ただ、購入時だけでなく出口戦略も重要なポイントの一つ。
最終的に賃貸併用住宅をどうすればいいかわからない!選択肢を知りたい。
今回は、賃貸併用住宅を将来売却する際や相続が発生した際に損をしないために、出口戦略としてどのような選択肢があり、何を考慮すべきなのかを解説します。
賃貸併用住宅における出口戦略のパターンや売却時の注意点、そして実際に賃貸併用住宅で暮らす私の体験談を紹介しますので、賃貸併用住宅の出口戦略に興味がある方はぜひ参考にしてみてください。
賃貸営業マン歴10年。2019年から不動産投資をスタートし、賃貸併用住宅・貸家・アパートなど合計42戸を所有。2022年に資産管理法人設立。賃貸業界の中から見る不動産投資について発信しています!
資格:宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/相続支援コンサルタント他
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編集者: 小花絵里(hana writing office代表/不動産ライター)
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賃貸併用住宅の出口戦略には何がある?
賃貸併用住宅は収益性のある資産ですが、長期的に運用するためには将来的な出口戦略を明確にしておくことが重要です。
ここでは、賃貸併用住宅における一般的な出口戦略について解説します。
賃貸併用住宅を売却する
賃貸併用住宅の最も一般的な出口戦略は「売却」でしょう。
ローンの返済が進んでいる場合や不動産市場が好調なときに売却できれば、まとまった利益を得られる可能性があります。
ただし、賃貸併用住宅は一般的な一戸建てやマンションと比較すると購入者が限定されるため、売却に時間がかかる可能性があることに注意が必要です。
- 賃貸併用住宅として売却する
- 賃借人を引き継ぐ投資用物件として売却する
- 二世帯住宅やシェアハウスなどとしても使えるようにして売却する
- 建物を解体して土地として売る など
私の賃貸併用住宅は1棟2戸と規模が小さく利回りも微妙なので、賃貸併用住宅として売却できたらと考えています!
賃貸併用住宅を二世帯住宅に転用する
賃貸併用住宅を二世帯住宅に転用する出口戦略もあります。家族構成やライフスタイルが変わった場合に効果的な出口戦略といえるでしょう。
祖父母世代・親世代の介護や子育ての支援が必要になるなど、賃貸併用住宅で暮らすうちに家族の状況が大きく変わるケースが考えられます。
私の周りにも家族の状況の変化により二世帯住宅に転用しようとしている人がいますよ。
賃貸部分を家族用の居住スペースとして転用することで親世帯や子世帯との同居が可能になり、家族全員が一つ屋根の下で生活できるようになるのです。
賃貸併用住宅を二世帯住宅に転用するメリットは、賃貸経営にかかる手間やリスクがなくなり、家族のために物件を有効活用できること。家族全体の住居費を抑えやすいので、経済的な負担軽減にもつながります。
デメリットは、賃貸部分からの収入がなくなることです。賃貸併用住宅を資産運用の一環として考えていた場合は、収入減少のリスクを考慮しなければならないでしょう。
賃貸併用住宅を二世帯住宅に転用する場合は、リフォーム費用や家族の将来的な住み替えの計画もあわせて検討し、転用後の生活設計をしっかりと立てておくことが大切です。
相続や贈与を通じて次世代に引継ぐ
賃貸併用住宅を相続や贈与で次世代に引き継ぐことは、長期的な資産運用を見据えた出口戦略の一つ。家族に資産を残したい場合や、賃貸部分を収入源として次世代に引継ぎたい場合に考えられる選択肢でしょう。
ただし、賃貸併用住宅を相続や贈与により次世代に引継ぎたい場合は入念な準備が必要なことに注意が必要です。
たとえば、賃貸併用住宅の相続税や贈与税について。賃貸併用住宅は自宅部分と賃貸部分がある住宅のため、相続税の計算や評価額が複雑になる可能性が考えられます。
税理士や不動産に詳しい専門家などにも相談をして、最適な相続・贈与プランを考えることが大切です。
また、賃貸併用住宅の相続や贈与を考えるのであれば、家族内での話し合いも欠かせません。賃貸部分の管理や収入の分配について次世代がどのように対応するかをあらかじめ決めておくと、将来のトラブルの防ぎやすくなります。
賃貸併用住宅の相続や贈与は家族に財産を残す手段になり得ますが、税金や管理負担、家族間の協力体制など考慮すべき点が多くあります。
家族と話し合いをしたり、専門家に相談したりするなど事前にしっかりと準備をして、次世代に負担をかけないような計画を立てることが大切です。
賃貸併用住宅の出口戦略として売却を選ぶ場合の注意点
ここでは、賃貸併用住宅の最も一般的な出口戦略といえる売却を選ぶ場合の注意点について解説します。
賃貸併用住宅は一般的な住宅の売却とは異なる注意点があるため、売却を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
購入時に将来も賃貸需要のありそうな立地を選ぶ
賃貸併用住宅の出口戦略として売却を考える場合は、購入時点で将来も賃貸需要のありそうな立地を選ぶことをおすすめします。
賃貸併用住宅は購入者が限定されるため、一般的な住宅と比較すると売却の難易度が高いといえます。そのため、賃貸併用住宅を売却しやすくするためには、立地選びが重要なポイントとなるのです。
賃貸併用住宅における立地選びのポイントの一つが、賃貸物件のニーズが強いエリアを選ぶこと。たとえば、駅近など交通の便が良い場所、大学や大企業の近く、商業施設や病院といった施設が整っている地域など。
賃貸需要の高い立地を選ぶと入居者を確保しやすくなるため、安定した家賃収入が見込まれます。購入希望者にとっても魅力的に映るでしょう。
また、エリアの将来的な発展性も考慮することが大切です。さらに、周辺の住環境や治安の良さも賃貸需要に影響するため、土地探しの際にしっかりと確認しておくべきポイントです。
立地は売却のしやすさに大きな影響を与える項目でしょう。将来的に賃貸併用住宅の売却を考えるのであれば、売却時にも高く評価されるエリア選びを意識して、慎重に購入の計画を立てましょう。
賃貸併用住宅の土地探しについては、下記の記事もご覧ください!
余裕のある売却スケジュールを立てる
賃貸併用住宅を売却する際は、余裕のあるスケジュールを立てることが非常に重要です。
一般的な戸建てやマンションと比較すると賃貸併用住宅は購入者層が限られているため、売却までに時間がかかる可能性があります。
急いで売却すると値下げ交渉で不利になりやすいため、希望価格での売却ができないリスクが高まるので注意が必要です。
また、賃貸併用住宅を売却する際は、賃貸部分の状況も考慮したスケジュール調整が必要です。賃貸契約の引継ぎや更新時期、空室リスクなどを考慮し、賃貸部分の状態が良好であることを確認してから売却に臨むと良いでしょう。
さらに、売却準備には物件の修繕やリフォームが必要なケースもあります。こうした作業には時間がかかるため、余裕を持ったスケジュールを設定することが大切です。
あなたの賃貸併用住宅に適した売り出し方を考える
賃貸併用住宅を売却する際には、その物件の特徴に合った売り出し方を考えることが重要です。物件の特性や魅力を最大限に引き出し、ターゲットとなる購入者層にアピールできる方法を選びましょう。
たとえば、賃貸部分が安定して収益をあげていて利回りも高い場合は、不動産投資家に向けて賃貸物件としての収益性をアピールする方法が考えられます。
賃貸物件として売り出す場合は、賃料収入や入居率、修繕履歴などの情報をしっかり提示し、投資物件としての魅力をアピールしましょう。
また、二世帯住宅やシェアハウスとしての転用が可能な物件であれば、家族構成が変化する可能性がある人やシェアハウス運営を考えている人に向けて、柔軟な利用方法を強調する戦略も考えられるでしょう。
賃貸併用住宅を売却する際は、売却価格を適正に設定することも重要です。
近隣の相場や物件の状態、将来の修繕コストなどを踏まえ、売却時の価格を適切に見極めることで、買い手にとっても納得のいく取引がしやすくなるでしょう。
さらに、賃貸併用住宅は購入者が限定されて一般的な住宅より売却の難易度が高いため、信頼できる不動産会社と連携することも大切なポイントの一つです。
不動産会社と連携し、物件の魅力を最大限に引き出す写真や動画を使用したり、適切なターゲットに向けた広告展開を行うなど、売り出し方を工夫することでスムーズな売却につながりやすくなるでしょう。
賃貸併用住宅の売却実績のある不動産会社を探す
賃貸併用住宅をスムーズに売却するためには、信頼できる不動産会社を選ぶことが重要です。
賃貸併用住宅は一般的な住宅とは異なるため、売却する際は賃貸併用住宅の特性を理解して適切に販売戦略を立てられる不動産会社が求められます。
そのため、賃貸併用住宅の売却に詳しい不動産会社を探す必要があるといえるでしょう。
不動産会社を探す際は、売却実績や販売事例を確認してみてください。不動産会社によって得意分野が異なるため、複数の会社を比較することをおすすめします。
また、不動産会社を選ぶ際には、賃貸併用住宅があるエリアに詳しいかどうかも重要なポイントの一つです。
エリアの賃貸需要や物件の将来性を考慮したアドバイスをしてくれる不動産会社であれば、賃貸併用住宅の売却でも適切なターゲットにアプローチしてもらえる可能性が高いでしょう。
賃貸併用住宅の売却は専門的な知識と経験が求められます。実績があり信頼できる不動産会社に任せることで、安心して売却を進められるでしょう。
住宅ローンで借り入れ可能な金融機関を調べておく
賃貸併用住宅を売却する際、購入希望者が利用できる住宅ローンの種類や金融機関の選択肢は売却の成否に大きく関わります。
賃貸併用住宅は一般的な戸建てやマンションと異なり賃貸部分が含まれるため、金融機関によっては住宅ローンを利用できないケースがあるからです。
そのため、売却を考える際には、どの金融機関が賃貸併用住宅の購入に対応できる住宅ローンを提供しているかを事前に調べておくことが重要です。
賃貸併用住宅における賃貸部分の割合や収益性などの条件によってローンの条件が変わる場合も考えられます。
特に投資目的が強い物件の場合、住宅ローンではなく不動産投資ローンが必要になることもあるため、慎重に確認する必要があるでしょう。
このような情報を事前に把握しておくと、購入者が資金計画を立てやすくなるためスムーズな売却につながります。
不動産会社や金融機関と連携し、適切なローンが利用できるようサポートすることで、購入希望者にとって魅力的な物件として売却を進めることができるでしょう。
賃貸併用住宅の出口戦略を考えるべき理由
賃貸併用住宅は、家賃収入を得ながら自宅として活用できる非常に魅力的な資産です。しかし、その長期的な運用を成功させるためには、購入時から「出口戦略」を考慮しておくことが重要だといえます。
あらかじめ出口戦略を考えておくことで、ライフステージや経済状況の変化に対応しやすくなり、資産価値を最大限に活かすことができるからです。
ここでは、賃貸併用住宅の出口戦略を考えるべき理由について解説します。なぜ出口戦略が重要なポイントとなるのか知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
ライフステージの変化に対応するため
賃貸併用住宅は賃貸物件でありながら、自宅でもある住宅です。そのため、ライフステージの変化に応じて自宅部分に求めるものが変わる可能性があります。
たとえば、子どもが生まれて家族が増えたり、子どもが独立して家族の人数が減ったり、親世代との同居が必要になったりするなど。時間とともにライフスタイルが変化することはよくあることです。
賃貸併用住宅の賃貸部分を家族用の居住スペースに転用したり、二世帯住宅として活用したりするなど、家族の状況が変化した場合に備えてあらかじめライフステージに応じた選択肢を考えておけば、状況が変わったときにスムーズに対応できます。
また、転勤や定年退職後の移住を考える場合にも、売却や賃貸経営の継続などの出口戦略を持っておくことで、ライフステージの変化に合わせた適切な判断がしやすくなります。
事前に出口戦略を計画することで、柔軟かつ安心してライフステージに合わせた決断ができるでしょう。
賃貸経営のリスク管理のため
賃貸併用住宅を所有することは、賃貸経営を行うことでもあります。自宅でありながら家賃収入を得られるメリットがある一方、賃貸経営に伴うリスクも考えておかなければなりません。
空室が続くことによる家賃収入の減少や入居者トラブル、修繕費の増加など、賃貸経営には予期せぬリスクが付き物です。
賃貸経営におけるリスクを軽減させるためにも、事前に出口戦略を立てておくことが大切だといえます。
たとえば、長期的に空室が続いた場合にリフォームを検討するのか、売却するならどのようなタイミングで売却するのか、あるいは賃貸部分を他の用途に転用するのかなど、具体的な対応策を準備しておくことでリスクが現実になった際に素早く次の一手を打つことができます。
賃貸経営の見通しが悪くなったときに備えて柔軟な対応ができるように賃貸併用住宅の出口戦略をあらかじめ考えておくことは、長期的な安定につながるでしょう。
資産価値を最大限に引き出すため
賃貸併用住宅を所有する場合、その資産価値を最大限に引き出すためにも、出口戦略を考えておくことが重要です。不動産の価値は立地や建物の状態、賃貸経営の収益性などによって変動しますが、適切なタイミングで売却や転用を行うことで、資産を有効に活用することが可能です。
例えば、建物の経年劣化が進む前にリフォームを施すことで、賃貸需要を維持したり、売却時により高い価格で取引できる可能性が高まります。また、不動産市場が好調なタイミングを見計らって売却することで、購入時よりも高い価値で資産を手放すことができることもあります。
さらに、賃貸併用住宅としての収益性が見込めなくなった場合でも、二世帯住宅やシェアハウスとしての活用方法を考えることで、資産価値を維持したり、他の形で活用することができます。
事前に出口戦略を計画することで、変化する市場やライフスタイルに柔軟に対応しながら、資産価値を最大限に引き出すための準備を整えることができるでしょう。
相続や贈与による次世代への引継ぎをスムーズに進めるため
賃貸併用住宅を相続や贈与で次世代に引継ぐことを考える場合、スムーズに進めるためにも事前に出口戦略を考えておく必要があります。
賃貸併用住宅は自宅部分と賃貸部分がある特殊な建物のため、相続や贈与をする際に税金関係が複雑になる可能性が考えられます。準備が不十分だと家族間のトラブルに発展する可能性があるでしょう。
あらかじめ弁護士や税理士などの専門家に相談して相続や贈与の最適なプランを立てておくことで、将来の家族の負担を軽減できるようにすることが可能です。
また、賃貸併用住宅を次世代に引継ぐ場合は、引継いだあとの管理も重要なポイントとなります。賃貸部分の管理をどのように引継ぐか、売却や転用の選択肢をどのように考えるかなど、事前に家族と話し合いをしておきましょう。
贈与を検討する場合にも、しっかりと計画を立てることが重要です。家族全員が納得できる形でスムーズに資産を引継ぐために、早めの計画と準備をするとよいでしょう。
実際に賃貸併用住宅で暮らす私が考えている出口戦略
私たちは賃貸併用住宅を「一時的に暮らす住宅」として建てたので、現在は住み替えを検討しています。
私たちの賃貸併用住宅のその後についてはまだ考え中です。できればオーナー側の住居を手放したくないのですが、難しければ売却することになるでしょう。
実際、私の周囲にいる住み替え希望の賃貸併用住宅オーナーは「売却」を選択しています。
1棟2戸と小規模なので収益物件として売るには利回りが低い。そのため、私たちと同じように住宅ローンで借り入れて賃貸併用住宅として利用する方に売却できたらと考えています。
賃貸併用住宅をするなら出口戦略も考えておこう!
賃貸併用住宅は、自宅としての利便性と賃貸収入を得ることができる魅力的な住宅です。ただし、成功させるためには長期的な視点での出口戦略を考えることも重要なポイントとなります。
ライフステージの変化や不動産市場の動向に合わせて、どのように物件を活用していくかをあらかじめ計画しておくことで、より有利に資産を運用できたり、リスクを最小限に抑えることができたりするでしょう。
出口戦略を考えることはただのリスク管理ではなく、将来的にどのように資産を活用していくかを計画するプロセスでもあります。
自分や家族にとって最適な選択肢を選び、賃貸併用住宅を最大限に活用するためにも、早めに準備を始めて柔軟な対応ができるようにしておきましょう。